2018-01-01から1年間の記事一覧

二千九百四十五の峠

伊能忠敬は下総国佐原村における名主の人。 50歳のときに天文学者の高橋至時に師事する。このとき高橋は31歳。 暦学や天体観測を学ぶうちに「地球の直径」を知りたいという欲求に駆られ、子午線1度の正確な距離を算出したいと考えるようになる。 「蝦夷地と…

奈良高畑より糸のみほとけ展

国宝の綴織當麻曼荼羅図の修理が成ったとのことで、繍仏の特別展を開催している奈良国立博物館へ行くことにした。 まずは山の辺の道を辿り白毫寺へ。山門と破れ築地が夏の空の下にとても映える。高円山の端ではあるが大和盆地を一望することができ、天智天皇…

韓非子

つらつらと項羽と劉邦を読んでいて諸子百家。とくに法家についてよくわかっていなかったので韓非子の入門本の頁をめくってみた。 春秋戦国時代に諸子百家とよばれる学者・思想家が雲のように群がり出てくる。 後世の司馬談はそれを陰陽家・儒家・墨家・法家…

八十里越

継之助の担架は八十里越を越えて行く。左足はすでに腐敗し臭気を放った。それにしてもこの長大さは、どうであろう。樹海は眼下にあり、道は天空に連なってゆく。 「八十里こしぬけ武士の越す峠」と継之助はわが姿を自嘲した。 ~司馬遼太郎「峠」より 八十里…

当尾の里から南都へ

雨上がりの奈良を歩く。 大和国の北端。当尾の里とよばれる木津川南岸の山中に浄瑠璃寺と岩船寺がある。 山中とはいえすぐ対岸の恭仁京の北には海住山寺もあり、天平華やかなりし時代には仏に帰依する貴族や学僧などの往来も多かった地域だったのだろう。 浄…

島原・壬生界隈

京の島原・壬生界隈を散歩。 京都卸売市場の横は千本通り。ここは平安京ができたころの朱雀大路であった。 有名な角屋はそこに面した場所にある。寛永18年(1641年)に新町五条下ルから島原へ移された。島原という一大遊郭は江戸幕府の意向なのかこの頃に形…